「個人再生した場合の財産」に関するQ&A
給与を差し押さえられたのですが、個人再生を申し立てれば解除されますか?
1 個人再生の申立で差し押さえは止められる
給与差押は止める手段が極めて限られています。
支払がされない場合の法律的な最後の手段ではあるので、感覚的には納得できますが、給与が1/4減ることになるので生活への影響は極めて大きいです。
個人再生の申立を行うと強制執行の中止命令の申立を行うことができます。
民事再生法 第26条
裁判所は、再生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、再生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続又は処分の中止を命ずることができる。(後略)
第2号
再生債権に基づく強制執行、(中略)の手続で、再生債務者の財産に対して既にされているもの
個人再生の申立後に、裁判所に対し中止命令の申立という別の申立てをすることで、裁判所が中止命令を出してくれます。
裁判所が出してくれた中止命令を、差押えをしている裁判所に提出すると、差押を止めることができます。
2 差押はいつ止まるか
流れとしては、
①個人再生の申立
②中止命令の申立
③中止命令
④差押裁判所に対する差押中止の上申
と複数の手続が必要になるため、申立をしたその日に止めることは難しいです。
ただし、裁判所への書類提出を2〜3日かかる郵送では行わず、直接裁判所に申立書を持参するなどして、差押の中止を可能な限り早くやるというような工夫はできます。
最速でやれば申立後2週間程度で差押を止めることも不可能ではありません。
3 差押は弁護士に依頼しただけでは止まらない
差押は個人再生の申立をする必要があります。
個人再生の申立をするには、一般的には次のような流れになります。
①弁護士と契約
②受任通知の送付
③資料の収集、家計簿の作成、弁護士費用の積立
④申立書作成
⑤裁判所に申立
申立までにかかる時間はケースバイケースですが、横浜地方裁判所では3ヶ月の家計簿作成が必要になるので、①~⑤まで3ヶ月以上はかかることが多いです。
つまり、弁護士に依頼したとしても差し押さえが止まるのは3ヶ月後となることも多いので注意が必要です。
なお、返済や督促が止まる受任通知の送付とは差し押さえが止まるタイミングは違います。
4 差押を止めるには、入念な計画を
給与の差押えを止めるには、弁護士に相談してから様々な手続を取る必要があります。
「7月25日の給料の差押を止めるには、7月15日には差押裁判所に書類を提出して、そのためには7月初旬には申立をして・・・」と様々なことを考える必要があります。
入念な準備が必要なので、事前によく弁護士と相談しましょう。
個人再生をした後、現在借りている家の契約の更新をしたり、新たに家を借りることができますか? 個人再生ではどのような点に気をつける必要がありますか?